みなさんはスポーツジムに通ったことがありますか?
スポーツジムでランニングマシンやエアロバイクで運動をしたことがある人は、反復運動や変わり映えしない景色に飽きてしまわないようにヘッドフォンで音楽を聞いたり、スマートフォンで動画を見たりなどして気分を紛らわせていることが多いのではないでしょうか。
有酸素運動とみなされる継続的かつ規則的な運動はかなり根気がいるものです(笑)景色が一定で変わらないランニングマシンや同じ場所で漕ぎ続けるエアロバイクは往々にして飽き易い運動なので、比較的継続をさせにくいものだと思います。
株式会社クロスデバイスが開発したスピード連動型 360VR映像再生システム「サイクリングVR」はエアロバイクで運動をしながら目の前の景色を劇的に変化させて楽しめるアクティビティです。
開発者に製品コンセプトを聞きました。サイクリングVRシステムはもともとはVRゴーグルを使って、サイクリングをしながら360度の景観を楽しめるシステムの開発から取り掛かったそうです。
しかしスポーツジムでは発汗することが前提であるため、汗が染み込みやすいVRゴーグルの使用はせずに、モニタースクリーンにVRと同じ視野角で映像を映し出すことで、ゴーグル無しでも仮想世界への没入感が得られるように開発をされています。
首を左右に振ることで視野を変化させるゴーグル型VRとは異なり、視野の映像を常時正面と左右のモニターに表示させておくという技法です。ゴーグルで視聴する場合は、右方向の映像を見るには右を向いた瞬間にゴーグル内の映像を機械的に右に移動させますが、モニターの場合、常時表示により右側の映像はいつでも表示されている状態です。
たしかにこれならわざわざゴーグルを装着する必要はありませんね。
エアロバイクのペダル部分に加速度センサーが搭載されていて、ペダルを漕ぐとその回転スピードによって映像の速度が変わります。加速度に合わせて映像の再生速度が変化するように数値データをリンクさせる仕組みだそうです。
これは必ずしも「自転車」である必要はなかったそうですが、一般に親しみやすい自転車をモデルに選んだ理由は、より多くの方にバーチャル体験を味わってもらうためだそうです。つまり、速度にまつわるアクティビティなら自転車以外のものにも転用ができるということですね。例えば車やバイク、未知のバーチャル体験を重視するなら月面探索機などにも利用可能だそうです。
前述の通り、ペダルなどの可動部分にセンサーを連動させる仕組みなので、必ずしもエアロバイクのような高額な器具でなくても利用が可能です。センサーを取り付ける位置を変更することで、サイクルトレーナやステッパー等の運動器具と組み合せて利用することも将来的に可能だそうです。
イベント等で利用したい場合、VRの視聴にはポータブルなBluetooth接続のVRゴーグルを利用することが多いですが、実際の大規模なイベント会場では多数の無線電波が飛び交っていている上に、Wi-Fiも重くて使えなかったりしますよね。
来場者を面前にした失敗のできない状況では、やはり信頼できるのは有線でのデータ送受信です。サイクリングVRはPCとモニター、エアロバイクを有線接続しているので、映像の遅延やフリーズ等がありません。安心してプレゼンテーションに集中できるサービスです。
三面ディスプレイは迫力がありイベント等でのパフォーマンスには最適ですが、設置スペースの関係でディスプレイが複数置けない場合や、限られたスペースで複数台を設置する必要がある場合は、VRゴーグルを使った仕様に変更することも可能です。イベントを盛り上げるという意味では周囲へのアピール力は若干落ちますが、利用者側はVRの世界に入ってしまえば広がる世界観はディスプレイ以上です。
● 起動時間測定
● 操作方法
● スピードと映像の連動
● コンテンツ映像紹介
サイクリングVRを体験する場合は、実際にはPCやアプリの起動など、全て環境が整った状態から始めるわけですが今回は敢えてシステムを起動するところからやってみることにしました。
まずはじめにフィットネス中に自分が走りたい好きなコースを選びます。
私が今回体験した中には、オリンピックで実際に使用されたサイクリングコースや、桜が満開時の弘前城周辺、サイクリングではなく異世界感が味わえる東京上空遊覧など、単調な運動による疲労感を紛らわすための視覚的歓楽を得ることができます。
映像はすべて実写なのでコースもリアルに再現されています。例えばオリンピックコースを走る場合、本番前の予行演習としても使用できるかもしれませんね。また、これらコンテンツは随時アップデートされていくそうです。今回私は最初にオリンピックコースを選択しました。
コース選択をして、映像スピードを好きな速さに変更します。あまり早すぎる映像を長時間見続けると、視点の周囲の映像にブラー(残像)が残りすぎてしまい酔う原因になることがあるため、自分に適したスピードで使用する方が良いということです。私はスピード「3」で体験してみました。
同じくBGMの音量もはじめに設定できます。周囲の環境に合わせて設定しておくと良いでしょう。それぞれお好みの設定に変更してSTARTを押すといよいよサイクリングが始まります。
画面左下には自転車の速度を表す数値がRPMで表示されていて、今どのくらいのスピードで走っているのかを知ることができます。フィットネスのエアロバイクと同様にゆっくり走りたい時、または全力で走りたい時を自分のペースで調整することができます。
そして気分の切り替えのタイミングの一つとして映像が利用できるわけですから、従来のエアロバイク運動よりも景観の没入感を楽しみながら速度を変更できる点が新しいと言えます。
たとえば、左手に水面に映る富士山が見えている間はスピードをゆるやかにして体力を温存つつ景観を楽しみ、正面に勇壮な富士山が現れた時はそれに対峙する自分の高揚感とともにペダルを漕ぐスピードを上げる。そんな自在感を楽しみながらフィットネスをするという新感覚の使い方ができるわけです。
私が最も驚いたのは、システムもさることながら再生される実写映像そのものです。3DCGで作られたコースをVRで体験するのは何度も試しましたが、実写で撮影されているアクティビティは初めてでした。
実写でコースを再現するには相当の労力が必要だったのではないかと思います。なぜなら3DCGとは異なり、実際にVRカメラで撮影をするという工程が必要なのですから。そして撮影方法にも通常の動画撮影とは異なる苦労があったのではないかと思います。
次に紹介するコンテンツのサンプル動画をご覧になるとわかりますが、ペダルを漕いで一定の速度で映像が進むような映像を撮るためには、撮影も必ず一定の速度で行わなければ映像として成り立たないということです。
そして、一定の速度で撮影をするためには、カメラのドリーの際に、たとえば通行人や渋滞中の車などの障害物があっては滑らかに撮れないということです。さらには公道なら信号機がありますし、前方に車両がいない瞬間というのはごく限られていたはずです。
空中映像を撮るドローンでは、障害物がないという意味ではある程度撮りやすいかもしれません。ただ、サイクリングをするには路上である必要があります。
路上でかつ障害物がないコースなどレーシングコース以外には存在しませんよね?そんなサイクリングコースを日中に撮るのは大変困難であったであろうと感じました。サイクリングVRは映像コンテンツが秀逸だと断言できるでしょう。
このスティッチングが甘いと、せっかくの超広大なパノラマ映像にノイズが入ってしまって境界線として見えてしまうことがあります。
サイクリングVRの映像コンテンツにはこの境目が全く見られませんでした。そのため広い視野で映像を違和感なく見ることができます。
自転車のケイデンス(1分間あたりのクランクの回転数)を計測するスピードセンサーで回転数を測定し、回転数からスピードを割り出しています。
これに映像再生のスピードとケイデンスの数値を同期させることで、ペダルを漕いでいる間だけケイデンス値が上がるので映像が再生されるという仕組みにしています。
そのため漕ぐのを遅くすると映像内のスピードも遅くなり、漕ぐのを止めると映像も止まるという仕組みです。
このスピードセンサーはタイヤの回転数を計測しその回転数とタイヤ周長からスピードと距離を、ケイデンスセンサーは1分間のペダル回転数をそれぞれ割り出します。
現在までのところ、ケイデンスと映像スピードを連動させているのみでペダルの荷重やギヤ比によるスピードの強弱にまでは対応していませんが、これは今後開発予定とのことです。
富士山のふもとに広がる広大な草原の遊歩道を、カタパルトから離陸したドローンが舞い上がり、壮大な眺望を一望する映像があります。この映像では、放牧された牛や羊がのどかに草を食べる様子を目にしながら、上空から優雅に飛び交う感覚を楽しむことができます。
その非日常的な空中散歩を十分に満喫した後は、長伏公園に移動し、全長15メートルのローラースライダーでスピーディーに滑り降りる映像もお楽しみいただけます。この爽快なアクティビティでは、風を切りながら滑り降りるスリルとスピード感を味わうことができます。一瞬の間に、心地よい風が髪をなびかせ、身体を爽快感で包み込みます。
富士山のふもとでの自然の美しさと、アクティビティを通じて得られる冒険心と喜びが、この映像から溢れ出しています。心身をリフレッシュさせ、素晴らしい体験を楽しむことができることでしょう。
ニューヨークが最も美しく輝き始める黄昏時の景観をスタート地点に、超高層ビル群に囲まれたミッドタウンの中心、ロックフェラーセンターを空撮した映像があります。この映像は、時間の経過とともに変化する光景を捉えており、夕景と夜景の両方を楽しむことができます。高層ビルの頂上から眺める摩天楼の上空は、まるでファンタジーの世界に迷い込んだかのような感覚を味わえます。
ペダルを漕ぐことで空中を進む様子も映像に収められており、その光景はまさに意気軒昂としたものです。まるで自転車で空を飛んでいるような気分になります。空中を漂いながら、一層迫力のある都市の美しさを楽しむことができます。
この映像は、ニューヨークの都会の喧騒を離れ、都市の息吹を全身で感じることができる特別な体験を提供してくれます。夕焼けに染まる空と、夜の光り輝く都市の風景が交錯する瞬間は、まさに魅惑的な光景です。
ニューヨークのロックフェラーセンター上空を自転車で巡るこの映像は、まさに夢のような世界への扉を開いてくれます。風を切りながらペダルを漕ぎ、都市の息吹を感じながら空中を舞い上がる喜びを味わってください。
青空の下に浜名湖を左に携えて湖岸線を西に進むと、ペダルを漕ぐ活力がさらにみなぎってくる爽快なスピードの映像があります。この映像では、湖の遊歩道から眺める公園の緑と牡蠣棚の蒼が美しいコントラストを作り出しています。その光景は心を落ち着かせ、少しの間、ゆっくりと走りたくなるかもしれません。
そして、競艇場へ向かうレイクサイドラインを抜ける頃には、吊橋型やアーチ型の鉄橋を駆け抜ける映像が繰り広げられます。その瞬間、風を直に感じるほどの爽快さが広がります。ペダルを踏み込みながら、鉄橋を走り抜けるという体験は、まるで自然の力を身体全体で受け止めているかのような感覚を生み出します。
浜名湖の湖岸線を自転車で駆け抜けるこの映像は、自然との一体感を味わいながら、爽快な冒険を楽しむ機会を提供してくれます。風が髪をなびかせ、心地よい快感が体を包み込みます。真っ青な空と湖の輝き、そして迫力満点の鉄橋との相まみえは、まさに感動的な光景となるでしょう。
一日かけて試してみた「サイクリングVR」は、既に広く知られているように、スポーツジムでの利用や本番前の疑似体験に最適です。しかしさらに別の視点から考えると、定期的な運動が必要な分野、たとえばリハビリテーションや介護施設での日常的な運動などでは、「シンプルな屈伸運動だが続ける必然性がある」という課題に直面します。
このような場合、仮想的に景色を変えることで運動へのモチベーションが高まり、継続性が向上する可能性があると考えられます。私がこのシステムを使いながら感じたのは、サイクリングVRは自転車やエアロバイクの枠を超え、様々な分野で利用できるサービスとして存在しているということでした。この点については、後日整理して執筆したいと考えています。
高齢化が進む現代において、年齢とともに自己の健康に気を使うことは避けられません。そして、これからますます一般的になっていくであろう点も考慮すると、サイクリングVRは家庭用のテレビや冷蔵庫のような家電とは異なり、一家に一台必要なものではありません。しかし、効果的な運動学習においては、学習者の動機づけが重要であるとされています。
その意味で、ヘルスケア器具やアクティビティとしてのサイクリングVRは、バーチャルメディアの発展とともに無限の可能性を秘めていると思われます。
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当社はロシアの写真家チームによって制作されたVR空撮プロジェクト「AirPano」の正規代理店です。高解像度高精細の360°航空写真と360°ビデオの両方の撮影コンテンツに特化しており、驚異的な視覚体験を提供可能な企業です。
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